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Ray-Ban Meta vs Even Realities G1 — オーディオ + AI 系スマートグラスの本命対決

日常装着できるスマートグラスの代表 2 機種、Ray-Ban Meta と Even Realities G1 を、設計思想・機能・価格・日本展開の観点で比較整理します。

スマグラ Journal 編集部/ 編集部18 分で読める

「毎日かけられるスマートグラス」という路線で頭ひとつ抜けた存在として語られるのが、Meta と EssilorLuxottica が組んで送り出した Ray-Ban Meta と、深圳発スタートアップ Even Realities が手掛ける G1 です。前者はカメラと Meta AI、後者は緑色の単色 HUD(Heads-Up Display)と軽量眼鏡という、まったく異なる設計思想で「眼鏡型」の市場を開拓しています。本記事では、公式情報と国内外メディアの報じる内容をもとに、両機種をフラットに比較して整理します。

概要

両機種は「重い HMD ではなく、普段の眼鏡として身につけられること」を共通の前提にしながら、残りの設計判断はほぼ正反対です。Ray-Ban Meta はカメラ・スピーカー・マイク・Meta AI を眼鏡フレームに収め、ディスプレイを持たない「音と AI のスマートグラス」として完成度を高めてきました。一方 Even Realities G1 はカメラを搭載しない代わりに、両眼に組み込んだ Micro-LED の HUD で通知・ナビ・翻訳・テレプロンプターなどの「視覚情報」を最小限に表示します。価格帯は Ray-Ban Meta(Gen 2)が 379 USD から、Even Realities G1 が 599 USD からで、用途と求める体験で選び方が大きく分かれます。

同じ「眼鏡型」でも、カメラ + AI と HUD という別の山を登る 2 機種。編集部生成(Vertex AI Imagen)

各製品の概要

Ray-Ban Meta(Meta + EssilorLuxottica)

Ray-Ban Meta は、2023 年 9 月の Meta Connect で初代が発表され、2025 年 9 月 18 日の Meta Connect 2025 で第 2 世代が発表されました(Meta Newsroom, 2025-09-18、2026-04-25 参照)。Wayfarer や Skyler など Ray-Ban のクラシックなフレームに、カメラ・オープンイヤースピーカー・マイクアレイ・Meta AI を内蔵し、ディスプレイを持たない「オーディオ + AI 型」のスマートグラスとして位置付けられています。

第 2 世代では 3K Ultra HD のビデオ撮影、最大約 8 時間のバッテリー駆動、2 倍に伸びた連続使用時間、20 分で 50% まで充電できる急速充電などが公式から発表されています(Meta Newsroom, 2025-09-18、2026-04-25 参照)。重量は Gen 2 で平均 52 g 前後と海外メディアは伝えています(Tom's Guide, 2025、2026-04-25 参照)。

2026 年 3 月には度付きレンズに最適化された「Ray-Ban Meta Optics Styles」シリーズとして「Blayzer Optics」「Scriber Optics」が発表され、米国では 499 USD から予約受付が始まっています(Meta Newsroom, 2026-03、2026-04-25 参照)。

Even Realities G1

Even Realities は 2023 年 9 月設立、深圳本社に加えてベルリンにグローバル拠点を置くスタートアップで、創業 CEO の Will Wang 氏は Apple、Anker、Oppo などでハードウェア開発に携わった経歴を持つと報じられています(South China Morning Post, 2024、2026-04-25 参照)。

同社の最初のプロダクトである G1 は、2024 年 6 月 26 日にプレスリリースで発表され、フラッグシップとして展開されています(PR Newswire, 2024-06-26、2026-04-25 参照)。両眼に Micro-LED ベースの HUD(Holistic Adaptive Optical System、HAOS)を組み込み、視野中央付近に約 1〜5 m 先に浮かぶように、緑色の単色テキストと簡易グラフィックを表示します(Even Realities G1 公式、2026-04-25 参照)。

カメラやスピーカーはなく、通知・ナビ・翻訳・QuickNote(音声メモ)・Teleprompt(テレプロンプター)など、「眼鏡が画面の代わりに最低限の情報を出す」ことに振り切った設計が特徴です。

デザイン・装着感

重量・素材

項目Ray-Ban Meta(Gen 2)Even Realities G1
重量(フレーム)平均 52 g 前後約 39 g
主素材アセテート(Ray-Ban クラシック準拠)マグネシウム合金フレーム + チタン合金テンプル
度付きレンズOptics Styles(Blayzer / Scriber)で最適化A / B / C / D の 4 種類のフレーム形状、度付きは追加オプション
ディスプレイなし両眼 Micro-LED HUD(緑色単色)

重量は Even Realities G1 が公式に約 39 g とされ、マグネシウム合金とチタンの組み合わせで、HUD 内蔵としては軽量に仕上げられています(Even Realities G1 公式、2026-04-25 参照)。Ray-Ban Meta(Gen 2)は 52 g 前後で、見た目は通常の Ray-Ban とほぼ同じシルエットを保っています(Tom's Guide, 2025、2026-04-25 参照)。

度付き対応

Ray-Ban Meta は 2026 年 3 月発表の Optics Styles で、可動域の広いヒンジや交換可能なノーズパッド、調整可能なテンプルエンドを取り入れ、ほぼすべての度数に対応するとされています(Meta Newsroom, 2026-03、2026-04-25 参照)。Even Realities G1 はそもそも「眼鏡屋で度付きにしてもらえる眼鏡」を志向しており、度付きレンズは別料金でオーダー可能と各メディアレビューが伝えています(Tom's Guide, 2025、2026-04-25 参照)。

機能比較

カメラ

カメラの有無は両機種の最大の違いです。Ray-Ban Meta(Gen 2)は 12MP の超広角カメラを搭載し、3K Ultra HD のビデオ録画と最長 3 分のクリップを生成できます(Meta Newsroom, 2025-09-18、2026-04-25 参照)。一方 Even Realities G1 はカメラを一切搭載しておらず、これを「日常装着の心理的ハードルが低い」というメリットとして打ち出しています(Even Realities G1 公式、2026-04-25 参照)。

マイク・スピーカー

Ray-Ban Meta はオープンイヤー型のスピーカーと 5 マイクアレイを搭載し、ハンズフリー通話・音楽再生・ライブ配信などに使えます(Meta Newsroom, 2025-09-18、2026-04-25 参照)。連続音楽再生は最大 5 時間程度と公式が案内しています。

Even Realities G1 はスピーカーを搭載せず、マイクは音声入力(QuickNote、AI への問いかけ、テレプロンプター用の音声追従)として使うのが基本です。「眼鏡側で音を鳴らさない」という割り切りが特徴で、音楽再生は手元のスマートフォンやイヤホンに任せる設計と各レビューが指摘しています(Engadget レビュー、2026-04-25 参照)。

AI アシスタント

Ray-Ban Meta は Meta AI と統合され、「Hey Meta」と呼びかけることで写真の被写体に関する質問、メッセージ要約、食事ログなどを音声中心に処理します(Meta Newsroom, 2026-03、2026-04-25 参照)。リアルタイム翻訳機能は 2026 年夏に日本語を含む 20 言語へ拡大される予定とされています(ケータイ Watch, 2026-04、2026-04-25 参照)。

Even Realities G1 はもともと QuickNote(音声で書き留めると AI が要約)や AI Assistant の問いかけ機能を備え、2025 年のアップデートで ChatGPT 連携と 13 言語のリアルタイム翻訳が追加されたと報じられています(Tom's Guide レビュー, 2025、2026-04-25 参照)。HUD に翻訳結果がそのまま映る点が、音声しか返ってこない Ray-Ban Meta と一線を画す部分です。

HUD ディスプレイ(G1 のみ)

Even Realities G1 の HUD は、両眼の Micro-LED ドットマトリクスをレンズ上部の導波路(Waveguide)に投影する方式で、片眼あたり 640×200 解像度、視野角 25 度、輝度 1000 nit、色は緑単色とメディアが伝えています(arcompare.com、2026-04-25 参照)。視野中央のやや上に「浮いた」ように映り、距離はアプリで 1〜5 m に調整できます(Tom's Guide, 2025、2026-04-25 参照)。

Ray-Ban Meta(標準モデル)はディスプレイを持ちません。なお、HUD を別途搭載した上位モデル「Ray-Ban Meta Display」は 2025 年 9 月に Meta Connect 2025 で発表されていますが、本記事では比較対象の中心を「ディスプレイなしの Ray-Ban Meta(Gen 2 を含む通常モデル)」と「Even Realities G1」に置いて整理しています(Meta Newsroom, 2025-09-17、2026-04-25 参照)。

スマホ連携・アプリ

Ray-Ban Meta は専用の Meta AI アプリ(旧 Meta View)を経由して写真・動画の同期、AI 対話履歴の管理、Instagram / WhatsApp などへの共有を行います(Meta Newsroom, 2026-03、2026-04-25 参照)。

Even Realities G1 は Even Realities 公式アプリで HUD に表示する内容(通知の種類、ナビゲーション、Quick Card、Teleprompt の原稿など)を管理し、テレプロンプターは AI / Manual / Auto の 3 モードで音声に追従するスクロールが可能とされています(Even Realities ブログ、2026-04-25 参照)。

価格・販売地域・日本展開

価格(参照日: 2026-04-25)

製品価格(メーカー直販)補足
Ray-Ban Meta(Gen 2)379 USD から度なしモデル、米国
Ray-Ban Meta Optics Styles(Blayzer / Scriber)499 USD から度付き対応モデル、米国
Even Realities G1599 USD から度なし、度付きレンズは追加オプション

Ray-Ban Meta(Gen 2)は米国で 379 USD から(Meta Newsroom, 2025-09-18、2026-04-25 参照)、Optics Styles は 499 USD から(Meta Newsroom, 2026-03、2026-04-25 参照)です。Even Realities G1 は公式サイトで 599 USD から販売されており、度付きレンズは追加で 150 USD 程度がかかると複数のレビューが伝えています(Even Realities G1 公式Tom's Guide, 2025、2026-04-25 参照)。

日本展開

Ray-Ban Meta は 2026 年 4 月 1 日(米国時間)にメタが日本を含む新市場での販売開始を予告し、リアルタイム翻訳の日本語対応も合わせて発表しました(ケータイ Watch, 2026-04、2026-04-25 参照)。日本での販売価格は、公式サイトに一時掲載されたとされる情報をもとに「Ray-Ban Meta Blayzer Optics(Gen 2)が 82,500 円(税込)」「Oakley Meta HSTN が 92,620 円(税込)」「Oakley Meta Vanguard が 96,580 円(税込)」と国内メディアが報じていますが、いずれも正式な日本向け価格としてメーカーが確定告知したものではないため、最終価格は変動する可能性があります(MoguLive, 2026-04、2026-04-25 参照)。

Even Realities G1 は、現時点では公式に日本国内向け販売チャネルを構えておらず、購入は基本的に公式サイト(evenrealities.com)からの国際発送、もしくは並行輸入が中心になると国内メディアは伝えています(Smart Watch Life、2026-04-25 参照)。価格は USD 599 から、度付きレンズと送料・関税を加味すると国内ユーザーで 10 万円台前半から半ばに着地しやすい点も国内レビュー記事で言及されています(Dig-it、2026-04-25 参照)。なお、Even Realities は 2025 年 9 月の TGS(東京ゲームショウ)2025 にも出展しており、日本市場への関心を示しています(4Gamer, 2025-09、2026-04-25 参照)。

撮影と AI 対話か、HUD で視線を上げたまま情報を得るか。用途で選び方が分岐する。編集部生成(Vertex AI Imagen)

どちらを選ぶべきか

両機種は競合というより、むしろ「同じ眼鏡型の中で違うレイヤーを担う」関係にあると編集部は捉えています。用途別の考え方を整理します。

逆に、両方を併用するというユーザー像も成立します。Ray-Ban Meta を「外で写真と AI を扱うサングラス」、Even Realities G1 を「室内とオフィスで通知を眼鏡上に出すデイリーグラス」として使い分ける、という構成です。スペックの優劣ではなく、「どの瞬間にスマートフォンを取り出さずに済ませたいか」を起点に選ぶと判断しやすくなります。

まとめ

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参考文献

執筆

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