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メーカー動向

中国のスマートグラス勢力図 2026 — XREAL / Rokid / VITURE / TCL / 小米の競争を読み解く

中国系スマートグラスメーカーは映像視聴系 AR グラスを中心に世界市場で大きなシェアを占めるとされます。本記事では XREAL / Rokid / VITURE / TCL RayNeo / 小米(Xiaomi)の 5 社を軸に、サプライチェーンの強み、Meta / Apple との戦略の違い、日本市場での存在感、規制・地政学リスクまで、公式情報と主要調査会社のレポートをもとに 2026 年 4 月時点で整理します。

スマグラ Journal 編集部/ 編集部19 分で読める

スマートグラス市場の出荷台数ランキングを眺めると、上位の常連には Meta や Ray-Ban のような欧米ブランドだけでなく、XREAL・Rokid・VITURE・TCL RayNeo・小米(Xiaomi)といった中国系メーカーが並びます。IDC や Counterpoint Research のレポートでは、世界のスマートグラス出荷台数 TOP10 のうち過半数を中国系企業が占めるとされ、特に映像視聴系 AR グラスのカテゴリでは中国メーカーが市場をリードする構図が続いています(IDC Worldwide AR/VR Headset Tracker, 2025-12、2026-04-25 参照)。本記事では主要 5 社の位置付けを整理しつつ、中国メーカーが持つ構造的な強み、Meta / Apple との戦略的な違い、日本市場での存在感、規制・地政学リスクまでを公開情報の範囲で読み解きます。

概要

中国系スマートグラスメーカーは、深圳を中心とした AR / 光学サプライチェーン、Kickstarter / IndieGoGo 経由でのグローバル展開、強い価格競争力という 3 点を背景に、映像視聴系 AR グラス市場で先行してきました(Counterpoint Research, 2025-11、2026-04-25 参照)。XREAL は出荷台数で同カテゴリの首位とされ、Rokid・VITURE が中位、TCL RayNeo が大手家電の体力を背景に追走、小米は 2025 年発表の Mijia AI Glasses で大衆価格帯を狙う姿勢を示しています。一方で米国の輸出規制やデータ保護規則は欧米市場での障壁として残り、エコシステム面では Meta / Apple / Google に対抗するハードルがあるとされます。本記事は煽らず、断定せず、構造の整理を試みます。

主要 5 社の位置付け

ここでは映像視聴系 AR グラスを軸に展開してきた 4 社(XREAL / Rokid / VITURE / TCL RayNeo)と、ライフスタイル AI グラスへ参入した小米の 5 社を取り上げます。位置付けは 2026 年 4 月時点の公開情報をもとにしています。

XREAL(旧 Nreal)

中国・北京を本拠とし、Birdbath 光学 + Sony Micro-OLED を採用した軽量 AR グラスで世界市場をリードしてきたメーカーです。XREAL Air 2 / Air 2 Pro / One 系列は USB-C 接続でスマートフォンや PC と直結し、最大 330 インチ相当の仮想ディスプレイを表示するという製品コンセプトで知られます(XREAL Newsroom, 2024-09、2026-04-25 参照)。CEO の徐弛氏は同社の累計出荷台数を 2024 年時点で「200 万台超」と公表しており(Reuters, 2024-09-26、2026-04-25 参照)、映像視聴系 AR グラスのカテゴリではグローバル首位と見られます。XREAL One では独自 SoC「X1」を搭載し、ホスト依存を減らす方向にも踏み出しています。

Rokid

杭州を拠点とし、Rokid Max / Rokid AR Studio / AR Lite を展開する企業です。映像視聴特化の Rokid Max に加え、空間 UI を提供する Station 端末を組み合わせた「AR Studio」、軽量フォームの AR Lite と、ラインアップを段階的に拡張してきました(Rokid Press Release, 2025-01、2026-04-25 参照)。CES 2025 では Rokid AR Lite を披露し、Engadget は「XREAL One の対抗軸として最も完成度が高い候補の一つ」と評しています(Engadget, 2025-01-08、2026-04-25 参照)。日本では Rokid Japan が国内向けに販売・サポート体制を整備しています。

VITURE

香港・深圳系の VITURE は、2022 年に Kickstarter で「VITURE One」をローンチし、XREAL のオルタナティブとして急成長しました。クラウドファンディングだけで 2,000 万 USD 超を集めたと報じられています(The Verge, 2023-04-20、2026-04-25 参照)。現行の VITURE Pro / Luma シリーズは、Sony Micro-OLED と独自の電動調光、Neckband 型のホストデバイスを組み合わせるなど、独自路線を強めています(VITURE Press, 2025-09、2026-04-25 参照)。米国市場での通販・コミュニティ展開が強い点も特徴です。

TCL RayNeo

世界 TOP3 のテレビメーカーである TCL の傘下ブランドが RayNeo です。RayNeo Air / Air 2 / X2 / X3 などを展開し、家電大手としての量産能力と部品調達力を背景に低価格帯から導波路採用のハイエンドまで広いレンジをカバーしています(TCL CSOT Press, 2025-01、2026-04-25 参照)。CES 2025 で発表された RayNeo X3 Pro は Micro-LED + 導波路を採用したシースルー AR グラスで、CNET は「中国勢の中で技術的な野心が最も明確」と評しています(CNET, 2025-01-07、2026-04-25 参照)。

小米(Xiaomi)

スマートフォン・スマート家電の世界大手である小米は、2025 年 6 月に「Mijia AI Glasses」を発表し、ライフスタイル AI グラス領域に本格参入しました(Xiaomi Newsroom, 2025-06-26、2026-04-25 参照)。価格は人民元 1,999 元から(おおよそ 4 万円台前半)と Ray-Ban Meta よりも安価な水準で、12MP カメラ・骨伝導スピーカー・小米 AI アシスタントを搭載します。Bloomberg は「中国国内では Meta が出荷できないため、Mijia AI Glasses は事実上の Ray-Ban Meta 代替として位置付けられる」と報じています(Bloomberg, 2025-06-26、2026-04-25 参照)。中国国内市場の規模を考えると、ボリューム面でのインパクトは大きいと見られます。

中国メーカーの強み

中国系スマートグラスメーカーが世界市場で存在感を持つ背景には、構造的な強みが複数あると整理できます(参照日: 2026-04-25)。

Meta / Apple との戦略的違い

中国系メーカーと Meta / Apple のスマートグラス戦略は、力点の置き方が大きく異なります。公開情報から読み取れる違いを 3 点に整理します(参照日: 2026-04-25)。

第一に エコシステム vs ハードウェア中心。Meta は Ray-Ban Meta + Meta AI + Llama + Reality Labs プラットフォームの統合エコシステムを構築し(Meta Newsroom, 2025-09-18、2026-04-25 参照)、Apple は visionOS と将来の眼鏡型デバイスの垂直統合を狙っているとされます(Bloomberg, 2025-11-10、2026-04-25 参照)。一方で中国系メーカーの多くは Android / 独自 OS / ホスト依存型のハードウェア展開が中心で、AI / OS / クラウドサービスを丸抱えする戦略は取りにくい状況にあります。

第二に AI 戦略の差。Meta は Llama を、Google は Gemini を自社 LLM として持ちますが、中国系では小米 AI / Rokid 言悦・XREAL の独自 AI など、自社モデルを搭載する例はあるものの、海外展開時はクラウド接続規制の関係でローカルモデルや OEM クラウドへ切り替える必要があるケースもあるとされます。

第三に 流通チャネル。Meta は EssilorLuxottica 経由で世界 18,000 店規模の眼鏡リテール網にアクセスできるのに対し(EssilorLuxottica Annual Report 2024、2026-04-25 参照)、中国系メーカーは Amazon・公式 EC・クラウドファンディング・家電量販店経由の販売が中心で、度付きレンズ加工や対面試着の体験ではディスアドバンテージが残ると見られます。

日本市場での存在感

日本市場では中国系スマートグラスメーカーの存在感が比較的早く確立されてきました(参照日: 2026-04-25)。

Meta の Ray-Ban Meta が 2026 年 4 月に日本投入を発表(ケータイ Watch, 2026-04-02、2026-04-25 参照)した一方で、映像視聴系 AR グラスの領域では中国メーカーが先行してきた構図が日本でも続いてきました。

規制と地政学リスク

中国系スマートグラスメーカーが直面する主要なリスクは、ハードウェア製品の競争力とは別レイヤーの問題として整理できます(参照日: 2026-04-25)。

これらは個別企業の問題というより、米中間の構造的な競争環境を反映したものと整理でき、中立的に状況を眺める必要があります。

2026 年以降の見立て

公開情報から推測される 2026 年以降の方向性を、中国系メーカー視点で整理します(推測を含む点は明示します)。

これらは公開情報からの推測であり、断定的な予測ではありません。米中関係や規制動向次第で方向性は変わり得る点に留意が必要です。

まとめ

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参考文献

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